更新日：2025年05月19日

建物の屋根と聞くと、一般的には三角屋根などの「傾斜屋根」を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
しかし、近年の住宅やビルでは「陸屋根（りくやね・ろくやね）」と呼ばれる平らな屋根も多く採用されています。

陸屋根はスタイリッシュな外観に仕上がるだけでなく、屋上スペースとして活用できるというメリットもあり、都市部の限られた空間を有効に使いたい建物にとっては非常に有利な形状です。

ただし、陸屋根は「防水」が非常に重要なポイントです。適切な素材を選ばないと、雨漏りや劣化のリスクが高まります。

この記事では、陸屋根に使われる主な素材の種類とそれぞれの特徴を分かりやすくご紹介します。

陸屋根とは？その特徴とメリット・デメリット

陸屋根とは、ほとんど傾斜のない平坦な形状の屋根のことを指します。
「フラットルーフ」とも呼ばれ、建築デザインにモダンな印象を与えるため、近代的な住宅やビルによく用いられます。

メリットとしては

• 屋上として活用できる（ベランダ、物干し、太陽光パネル設置など）
• 建物の高さを抑えられる
• シンプルな構造で施工がしやすい場合がある

一方、デメリットは

• 傾斜が少ないため、雨水が溜まりやすく、防水処理が必須
• 排水口の詰まりによって雨漏りが起きやすい
• 防水層の劣化が進むと補修費がかかる

このように、陸屋根は見た目や機能性のメリットがある反面、メンテナンスを怠るとトラブルになりやすい屋根形状ともいえます。

陸屋根に使われる主な素材の種類と特徴

陸屋根の防水には、建物の構造や用途に応じていくつかの代表的な素材が使われます。
ここでは、代表的な3種類をご紹介します。

シート防水

「塩ビシート防水」や「ゴムシート防水」といった、薄い防水シートを屋根全体に敷き詰めて接着する工法です。
あらかじめ工場で製造されたシートを使うため、品質が安定しているのが特徴です。

【メリット】

• 工期が短くて済む
• 施工後すぐに使用できる
• メンテナンスしやすい

【デメリット】

• 下地の形状に大きく依存する
• 複雑な形状には施工が難しい

商業施設や大規模建築でよく採用される方法です。

ウレタン防水

液体状のウレタン樹脂を塗布して固めることで防水層を形成する工法です。
密着工法や通気緩衝工法といった施工方法があり、状況に応じて使い分けが可能です。

【メリット】

• 複雑な形状にも対応できる
• 継ぎ目がなく、仕上がりがきれい

【デメリット】

• 乾燥に時間がかかる（天候の影響を受けやすい）
• 職人の技術によって仕上がりに差が出る

戸建て住宅に適しています。

FRP防水

ガラス繊維で補強されたプラスチック素材（FRP）を使った防水工法です。
ベランダやバルコニーによく使われていますが、陸屋根にも対応可能です。

【メリット】

• 非常に硬く、耐摩耗性に優れている
• 継ぎ目がなく、水密性が高い

【デメリット】

• 伸縮性が低く、ひび割れしやすい
• 施工箇所が大きすぎるとコストが高くなる

歩行頻度が高い屋上やバルコニーには特に適しています。

まとめ

陸屋根は活用性の高い屋根形状ですが、その反面、防水対策が不可欠です。
適切な素材を選ぶことで、雨漏りや劣化のリスクを大幅に軽減することができます。

シート防水、ウレタン防水、FRP防水といった素材はそれぞれに長所と短所があります。
建物の構造、使用目的、予算などを考慮しながら、最適な防水方法を選ぶことが重要です。

そして、どの素材を選んだとしても、定期的な点検とメンテナンスは必須です。
陸屋根の耐久性を長く保つためにも、信頼できる業者による定期点検をぜひご検討ください。

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