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更新日 : 2023年03月30日
更新日 : 2023年03月30日
瓦屋根に必要な漆喰詰め直し工事!工程と費用の目安を紹介
瓦屋根には「耐久性が高い」「高級感がある」などの様々な魅力があります。粘土瓦であれば塗装メンテナンスも不要で手間をかけずに美しい外観を維持できます。
しかし、瓦自体が耐久性に優れているとはいえ、屋根のメンテナンスが全く必要ないというわけではありません。下地である防水紙や瓦を固定するための銅線、釘などの建材は瓦程の耐久性はないため、メンテナンスが必要です。また、特に注意しておきたいのが劣化しやすく定期的に補修が必要な「漆喰」です。
本記事では、瓦屋根の美観を長く保つための漆喰のメンテナンス方法や特徴についてご紹介します。劣化が気になっている方や、長く点検をおこなっていない方はぜひご参考ください。
目次
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一口に瓦屋根といってもさまざまな種類(粘土瓦、セメント瓦、モニエル瓦など)があります。それぞれ成分や製法、見た目などに違いがあり、建物の雰囲気や好みによって選ぶことになるのですが、ほとんどの場合でいずれの瓦でも漆喰工事を行う必要があります。
粘土瓦(和瓦)
粘土を用いて作られており、和瓦や日本瓦などと呼ばれることもあります。成形して乾燥させた後、1000℃以上の高温で焼いて作るのが特徴で、最大のメリットは50年以上持つ長い耐久性があることです。
粘土瓦の中でも、ガラス質の釉薬を塗ってから焼き上げる瓦を「釉薬瓦(陶器瓦)」と言います。光沢があり、色あせしにくいのが魅力です。水をはじくため、凍害の恐れがある寒い地域にも向いています。
釉薬を塗らず焼いて、最後にいぶして仕上げる「いぶし瓦」は、瓦の表面が炭素の膜で覆われ、深みのある黒っぽい銀色になるのが特徴です。
セメント瓦・モニエル瓦
セメント瓦はその名の通りセメントを主成分としており、塗装によって防水性能を維持しているため、定期的なメンテナンスが必要です。
モニエル瓦は「乾式コンクリート瓦」とも呼ばれ、セメントと砂利が主成分となっています。表面に着色剤が使用されており、形状やデザインが豊富にあるのが特徴で、和風住宅・洋風住宅のどちらにも合わせやすいといった良さがあります。セメント瓦と同じく塗装メンテナンスが必要です。
セメント瓦もモニエル瓦も粘土瓦程の耐用年数はないため、適切なタイミングで漆喰補修や全体的なリフォームが必要になります。
瓦屋根に使われる漆喰とは
漆喰が使われている場所はどこ?
漆喰は瓦屋根のみ用いられる建材で、主に屋根面が凸にぶつかる部分にある棟瓦を固定するために使用されます。棟瓦を見上げたときに見える半月型の白いものが漆喰で、「面戸」と呼ばれる棟瓦と平部の瓦の隙間を埋めているのも同じく漆喰です。
一般的な瓦屋根では前述した箇所に漆喰が使用されますが、屋根が土葺き工法の場合は軒先の隙間にも漆喰が使用されている場合があります。
漆喰の成分
石灰岩に水を加えて作られた消石灰に海藻のりなどを用いた“糊”、わらなどを細かく切った“すさ”を加えて作られます。糊を含めることで粘着性が生まれ、すさを用いることで亀裂が生じるのを防ぎ、接着力を高めます。
上述したような自然素材を用いた製法ではなく、合成樹脂を用いた糊を使ったものも近年は増えています。
漆喰が使用される理由とは?
瓦屋根を施工する際に漆喰が使用される主な理由は2つあります。
一つは葺き土を保護するためで、もう一つは美観を維持するためです。
昔ながらの湿式工法では、冠瓦やのし瓦を支えるために葺き土が使われていますが、劣化によって瓦の固定力が衰えると、棟の歪みやズレなどが起こりやすくなります。地震や台風などの自然災害が起こればなおのことです。
そこで、漆喰を用いて棟瓦の固定力を上げ、棟の耐久性を向上させています。ズレや歪みが起こりにくくなれば、その分見た目の美しさも維持することができます。
また、隙間を埋めることで鳥やネズミなどの小動物が屋根裏に侵入するのも防いでくれます。
漆喰が劣化する原因と症状について
瓦屋根は長い耐用年数が魅力の屋根材です。そのため、点検やメンテナンスが不要だと誤った認識をお持ちの方がいらっしゃいます。確かに瓦自体は耐用年数が長く、割れや飛散がなければメンテナンスを行う必要はありませんが、瓦を固定している漆喰は違います。
漆喰は紫外線や雨風、厳しい寒さなどの影響で劣化してしまいます。耐用年数はおよそ20年程度となりますが、お住まいの環境によってはもっと早くに補修が必要になることもあります。
次に、漆喰に多く見られる劣化症状についてご紹介します。
ひび割れ
劣化の初期症状に、ひび割れがあります。経年劣化以外にも、地震の揺れが原因で生じることもあります。
剥がれ
ひび割れをそのままにしていると剥離症状に発展し、屋根上やお住まいの敷地に白や灰色の塊を見かけるようになります。
漆喰の劣化を放置したらどうなる?
劣化が進み、剥離が見られるようになった漆喰をそのままにしていると、雨水などの侵入を許してしまうことになります。
侵入した雨水は葺き土の固定力を弱め、棟の歪みや倒壊を招く可能性があり、当然ですが雨漏りの原因につながることもあります。
もちろん、漆喰の劣化がすぐに危険な状態につながるというわけではありません。しかし、状態は悪い方向にしか進みませんので、大きな被害になる前に漆喰詰め直し補修することをおすすめします。
漆喰詰め直しご提案例
漆喰詰め直しご提案例1
雨樋の掃除中に、漆喰の剥がれを見つけられたそうです。築20年以上の瓦屋根のお住まいとのことですが、漆喰補修工事をされたことがなかったそうです。点検したところ、面戸漆喰の大部分のひび割れと、内部の土が見えているところが確認できました。漆喰の詰め直しをおこなうことで、雨漏りや棟倒壊を防ぎます。
漆喰詰め直しご提案例2
近くで屋根工事をしていた業者から、屋根に異変が起きていることを教えてもらったそうです。棟の漆喰が失われた状態にあり、固定力が衰えてしまったことで隣接する瓦が大きくずれていました。割れている瓦も見られ、落下のリスクもありました。漆喰の詰め直しと瓦の補修をご提案しました。
棟があまり傷んでおらず、過度な歪みや瓦のズレが生じていない場合は詰め直しにて補修することができます。古い漆喰を除去した後に、新たな漆喰を塗り込む工事です。
ほかにも、既存の漆喰の上から新しい漆喰を充填する「詰め増し」という工法もありますが、施工後の寿命が短いため、あまりおすすめしません。ひび割れなどで隙間ができている漆喰の上に漆喰を塗ると、古い漆喰と補充した漆喰が一緒に剥がれてしまうこともあるからです。
そもそも漆喰は、およそ10ミリの薄さで塗り込んでいくものです。古い漆喰の上にさらに塗ってしまうと、厚くなり棟からはみ出ます。はみ出た部分は雨風の影響を受けやすく傷みが早いため、結果的に短いスパンで次の補修工事が必要になってしまうのです。
上記のような理由から、漆喰のメンテナンスには「漆喰詰め直し工事」を強くおすすめします。
漆喰詰め直し工事の工程
漆喰詰め直し工事の基本的な工程は以下の通りです。
葺き土を残し、劣化した漆喰を完全に取り除きます。
劣化した漆喰を取り除いたら掃除をおこない、漆喰が塗りやすいように葺き土の表面を平らにします。瓦のズレがある場合も漆喰を詰める前に直します。
漆喰をおよそ10ミリの厚さで、隙間を埋めるように詰めていきます。薄すぎると剥がれやすくなり、厚すぎると雨風の影響を受けやすくなるため、適度な厚さが求められます。職人の腕の見せどころだと言えるでしょう。
漆喰詰め直しにかかる工事日数
工事の範囲によっても異なりますが、漆喰詰め直しの場合はほとんどが1日程度で完了します。
「屋根から漆喰の塊が落ちてくるので補修工事をしたいけれど、工事は何日かかるの?」
「他の工事のついでに漆喰も直してほしい」
など、漆喰詰め直し工事について気になる点がありましたら、街の外壁塗装やさんまでお気軽にご相談ください。
漆喰詰め直し工事費用の目安
工事をおこなう範囲や内容によって工事費用は異なってきますが、目安として1mあたり6,000円前後と考えておくといいでしょう。漆喰工事の費用は棟の長さによって決まります。棟が10mだった場合、漆喰は棟の両側に必要になるため20mが施工範囲となります。
注意したいのは、屋根の広さではなくあくまでの「棟の長さ」によって決まるという点です。切妻屋根は2面で構成されていますが、寄棟屋根は4面で構成されているため、寄棟屋根のほうが棟が長い場合が多く、費用が高くなる傾向があります。
また、足場を仮設しなければ工事できない場合は、上記費用とは別途、足場仮設費用が掛かります。
漆喰詰め直し補修の実例紹介
空き家になっていたいぶし瓦の屋根の点検と補修工事をすることになりました。点検したところ、漆喰の劣化が進んでおり、一部瓦のズレもありました。これから貸す予定もあったため、工事をおこなうことにしたそうです。
1.工事前の準備
屋根工事の多くは、足場を設置することがほとんどです。一般的に足場代は20万円弱かかりますが、今回は屋根の頂部のみを工事するため、簡易的な足場を設置することにしました。瓦を傷つけないように注意しながら、瓦の隙間に足場板を金具で取付けます。
はじめに、既存の漆喰を取り壊す「斫(はつり)工事」をおこないます。前もって足場板に土嚢袋を挟んで、ガラやゴミが散乱しないようにします。
2.既存の漆喰のはつり工事
漆喰のはつり工事には、専用の金槌である「瓦槌」を使用します。繊細な作業が必要になるため、瓦槌のみを使い機械は使用しません。
確かな施工をおこなうために、既存の漆喰を除去するのは大切な作業です。
劣化した漆喰の上から、新たな漆喰を重ねる方法もあります。しかし、すでに固定力など機能が衰えている漆喰に塗り重ねても、一緒に剥がれてしまうことも少なくありません。機能を失った漆喰を除去してから、新しい漆喰を埋め込んで長く良い状態を維持できるようにしていきます。
漆喰をきちんと塗り込むために、下地を調整して表面を平らに整えることも不可欠です。下地に問題があると、新しい漆喰が剝がれてしまうこともあるからです。
繊細な工事なので、一日に20mが限度です。こちらの住宅では60m分の漆喰の作業だったので、3日程度かかることになります。
3.漆喰の準備
以前は、漆喰と言えば消石灰に繊維や糊などの天然成分を加えて作っていました。現在は、セメントや繊維などが含まれたものに、現場で水を加えて練るタイプが一般的です。粘り具合が、仕上がりに影響するため丁寧に練り上げます。
4.漆喰を塗り込む
棟瓦の土台となる「面戸」に、漆喰を塗っていきます。細かな作業であるため、コテではなく面戸鏝を使って作業を進めていきます。詰め過ぎてしまうとはみ出た部分に雨水が入り込んでしまうため、慎重におこなう必要があります。熟練の職人だからこそできる作業であるとも言えるでしょう。
部位によって調整しながら塗っていきます。太陽があたりやすいところや棟の端は、傷みやすいため厚めにします。このように、経験と知識が必要となる作業です。
漆喰が塗り終わってから、1~2日程度で乾燥します。白く美しい漆喰は、瓦屋根をさらに美しく引き立てます。雨水の侵入などの心配もありませんので、安心して暮らすことができるでしょう。
5.瓦屋根と外壁の取り合いにも
屋根と外壁の接合部分の漆喰も、詰め直しをしました。繰り返しになりますが、瓦は寿命が長いといった良さがありますが漆喰は違います。10年程度経つと修繕が必要になりますので、寿命が近くなってきたら注意しておきましょう。
漆喰に問題が起こっていても、なかなか気づくことが難しいかもしれません。ひび割れがあっても見えないこともあるでしょう。しかしながら、漆喰の塊が屋根にのっていたり落ちていたりする場合は、劣化に気づくことができます。機能が低下しており、屋根を守ることができない状態になっていると思っていてください。
また、棟が歪んでいるように見えたり、瓦が割れていたりする場合も注意が必要です。早めに対処すれば、簡単な補修工事で修繕できることも多いため、専門業者に点検してもらうことをおすすめします。
街の外壁塗装やさんでは、屋根の点検も補修も可能です。軽度な劣化であれば、漆喰詰め直し工事で修繕をおこないます。劣化が激しい場合は、状況に合わせて棟瓦を解体して造り直す「棟取り直し」や、屋根の葺き替えなどにも対応しています。
外壁塗装を検討されている方は、併せて瓦屋根の点検をしてみてはいかがでしょうか。瓦屋根のことでご心配なことがある方は、是非お気軽にお問合せください。
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