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更新日 : 2024年05月24日
更新日 : 2024年05月24日
ALCパネルとは?外壁塗装時の注意点、メリット・デメリットを解説
50年を超える長期使用も可能なALCパネルの外壁材・・・
それは外壁塗装などで適切なメンテナンスを行った場合の話です
新築や外壁リフォームを検討される際、何を基準に外壁材をお選びになりますか?見た目の外観を重要視される方もいらっしゃれば、機能重視という方もいらっしゃるでしょう。では、ALCパネルという外壁材の存在をご存知でしょうか。
外壁材にはさまざまな種類があります。日本における外壁材で8割ほどと最も使用されている窯業系サイディングをはじめとして、金属系サイディング、モルタル、タイルなど選択肢はさまざまです。その中で、ALCパネルという外壁材が近年注目されています。これまでは主に高層ビルや倉庫などの大規模な建物に使われてきましたが、戸建て住宅にも使用される機会が増加しつつあります。軽量で長寿命であることが主な特長ですが、なぜ戸建て住宅に選ばれるようになっているのでしょう。本記事では、そのALCパネルに着目し、特徴やメリット・デメリット、耐用年数、メンテナンスの方法などを解説します。これから外壁リフォームを検討される方は、是非とも参考になさってください。
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目次
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ALCパネルとは
ALCとは、Autoclaved Lightweight aerated Concreteの略で、軽量気泡コンクリートを指します。ALCの最大の特徴は、次の写真のように「多孔質=無数の空気穴がある状態」であることです。本来であれば重量のあるコンクリートに、無数に気泡を入れることで軽量化を実現しています。その重さは、鉄筋コンクリートの1/3~1/4ほどです。
1920年頃にスウェーデンで開発され、ヨーロッパを中心に使用が広まった歴史ある建材です。このALCを板状に成型したものがALCパネルで、日本で生産が始まったのは1963年頃からと言われています。主原料がコンクリートであるため、難燃性・耐久性に優れていることから、ビルや工場、商業施設などの大型の建築物に使われてきました。
ALCの特長は、軽くて、燃えにくく、耐用年数が長い以外にも、断熱性・耐震性・遮音性が高い点が挙げられます。外壁材に必要とされる機能をほとんど兼ね備えているため、住宅にも使用されるようになってきていると言えます。
では、ALCの耐用年数はどれくらいなのでしょうか。ALCは、無数の気泡がある素材ですから、そのままでは吸水しやすく長持ちさせることはできません。そのため、塗装によって表面を保護してあげることが大切です。この塗膜の役割が機能していれば、長寿命が可能となります。適切な塗装メンテナンスを行えば、50年を超える耐用年数が期待できます。
ALCパネルのメンテナンスには、外壁塗装を行うだけでなく、目地部分のシーリングの打ち替えも必要です。一般的な日本家屋の平均寿命は27~28年と言われていますので、ALCパネルの場合、定期的な点検と適切なメンテナンスを行えば、ほぼ倍の耐用年数が実現できるでしょう!
ALCパネルの塗装メンテナンスの塗料選び
では、ALCパネルの適切なメンテナンスとはどういったものでしょうか。先述したように、ALCには無数の気泡がありますので、雨水が浸み込みやすくなっています。浸水を防ぐためには、塗装メンテナンスが必要ですが、その際の塗料選びには注意しなければなりません。一般的に、浸水防止には弾性塗料や防水塗料を選べば良いとの認識になりがちですが、ALCパネルに関しては実は当てはまりません。仮に、防水塗料を選択した場合、内部に侵入した水分を抜くことが出来なくなり、結果的に、次の写真のように、塗膜の膨れや剥がれが発生してしまいます。
このように弾性塗料や防水塗料が向かない外壁材の場合、透湿性の高い塗料を選ぶことによって、機能を最大限に活かすことができます。この透湿性の高い塗料は、外部からの水滴はシャットアウトしますが、内部の水蒸気を外部に逃がす性質があります。透湿性の低い塗料と高い塗料における水蒸気の様子は、それぞれ以下のようなイメージです。
では次に、水性・油性どちらの塗料を選択すれば良いでしょうか。水性塗料は雨に弱いイメージをお持ちかもしれませんが、実際にはそのような性質ではありません。水性塗料とは、顔料や樹脂に水を混合したタイプの塗料で、乾燥すると水分は蒸発し硬化します。塗装時に雨に濡れなければ、塗料が雨に流される心配はありません。
一方で、油性塗料とは、水の代わりに溶剤を混合したタイプの塗料です。最近では水性でも耐候性に優れた塗料が出ていますので、水性塗料を選ばれる機会が増えつつあります。塗料を決める時は、近隣のお住まいへの臭いを配慮される場合は水性を、耐久性を重視したい場合は油性を選択されると良いでしょう。
ALCパネルの外壁は、理想的なメリットを兼ね備えていますが、他の外壁材と比較すると費用が高いため、施工件数はさほど多くありません。日本における外壁材で8割を占めるのは窯業系サイディングであることからも分かるように、ALCパネルを施工する業者もまだ少ない現状です。ALCの外壁を選択する場合は、ALCの外壁塗装実績のある施工会社を選定するようにしましょう。
もちろん私たち「街の外壁塗装さん」では、ALCパネルの外壁塗装を承っております。ALCの特徴を把握したスタッフが、適切なメンテナンスをご提案させていただき、さまざまな外壁材や塗料に精通した経験豊富な職人が施工させていただきます。無料点検を随時承っておりますので、ぜひ一度ご相談ください。
ALCパネルの構造と原料
ALCパネルのメリット・デメリット
ALCパネルは、理想の条件を兼ね備えた外壁材であることを先述しました。ここでは、改めて、メリットとデメリットを確認しましょう。
【ALCパネルの主なメリット】
- ・軽量(鉄筋コンクリートと比べて)
- ・断熱性・遮音性が高い
- ・耐用年数が長い
- ・耐火性に優れている
- ・工場生産品であるため、施工しやすい
軽量であるということは、建物に負担を掛けず、耐震性にも優れているということです。また、断熱性に優れているため、夏は涼しく冬は暖かいという室内環境を保ちやすくなり、気泡が音を吸収するため、外部の騒音が伝わりにくく、室内の音も漏れにくいメリットがあります。
【ALCパネルの主なデメリット】
- ・吸水対策が必要不可欠
- ・つなぎ目が多い
- ・費用が掛かる
軽量化・断熱性・遮音性などのメリットをもたらす気泡は、実はデメリットに繋がる面も持ち合わせています。端的に言うと、気泡が吸水しやすく、防水性が低いということです。吸水はALCにとって大敵と言えます。
また、ALCパネルは小さいサイズに設計されているため、つなぎ目が多く、シーリング材をしっかり充填しないと雨が侵入しやすくなります。また、やはり最も気になる点は費用面でしょうか。他の外壁材と比べると価格が高い傾向にあります。ただ、ALCはその分耐用年数が長いためコストパフォーマンスが高いです。初期コストだけではなく、メンテナンスを含めたトータルコストを勘案する必要があるでしょう。
旭化成建材の試験では、ALCパネルが吸水した場合、7~12日後に元の含水率に戻るというデータを公表しています。ただし、中に水を含みこみ、うまく蒸発できないと、強度が低下するというデータを出しているところも見られます。
中が乾燥すれば問題がないと思われますが、実はそうではありません。ALCパネルの中の鉄筋の防錆効果が落ちると、錆が広がり、膨張した錆が内部からコンクリートを押し出すこととなり、クラックや破壊の原因となるのです。
先述のように、ALCパネルはつなぎ目が多く、目地部分をシーリング材(防水材)で埋めなければなりません。建物によってパネルの厚みが異なりますので、厚みが出るパネルほど、このシーリング材をしっかり充填しなければ、雨水が侵入しやすくなってしまいます。
また、シーリング材が紫外線や雨水などで劣化すると、下の写真のように、肉痩せや亀裂が発生し、雨漏りの原因となってしまいます。
※目地内部にはバックアップ材や固定金具、パネルを繋ぎ合わせる凸凹の継ぎ手がありますので、実際に必要となる充填量は見た目よりも少ないです。
ALCは、建物によって異なる厚みのパネルを使用します。木造の建物は薄く、鉄骨・鉄筋コンクリート造りの建物は厚みのあるタイプが使われています。
上記のようなALCパネルの劣化が見られた場合は、なるべくお早めにメンテナンスをご検討ください。劣化が進行する前に、定期的な点検や外壁塗装は早めに行うよう心掛けましょう。
一般的な外壁同様、目地部分は雨水が侵入しやすく、シーリング材の劣化を見過ごすことはできません。シーリング材は強風や地震時などに、建物の揺れと同時に伸縮するため、ひびが入ったり剥がれたりします。多くの場合、シーリング材の耐用年数は5~7年程度と、外壁・塗料の耐用年数よりも短いので注意が必要です。
シーリング材の劣化の進み具合は、次の写真のように、まずは弾力性がなくなり、次にひび割れや肉痩せが発生し、酷くなると下地であるバックアップ材が露出してしまうこともあります。
このようなシーリングの劣化をご自身で確認するのは難しい場所もありますので、ご心配のある方は専門業者に点検を依頼すると良いでしょう。
私たち「街の外壁塗装やさん」では、無料点検を承っております。外壁塗装やシーリング部分にご不安をお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。
先ほどシーリング材は塗料よりも耐用年数が短いとお伝えしましたが、そこでぜひオススメしたいシーリング材が、オート化学工業の「オートンイクシード」です。
一般的なシーリング材には、柔軟性を持たせるために可塑剤が配合されています。耐用年数を迎えると、この可塑剤が染み出し、シーリング材が硬くなり、ひび割れや剥がれなどが発生するのです。次の写真のように、シーリング材や外壁が黒くなっているのが、可塑剤の染み出しによるブリード現象です。
オートンイクシードは、可塑剤を配合せずに柔軟性を長期間持続させるシーリング材です。耐用年数は、一般的なシーリング材の7年程度をはるかに上回る15年超です。同程度の耐久性を持つ塗料と合わせて、同じタイミングでメンテナンスを行うことが可能となります。
ALCパネルの塗り残しに注意!
外壁塗装全般に言えることですが、塗り替え作業は丁寧にムラなく行わなければなりません。特に、ALCパネルの場合、凹凸のあるデザインが多いため、気泡をしっかり埋めながらムラなく塗装する必要があります。写真のように、下の方に塗り残しがあっては、雨水が侵入してしまいます。
写真の状態では気泡が埋まっていないため、雨水が侵入する恐れがあります。ALCの外壁塗装をご検討中の方は、ALCの特長を熟知した、信頼できる業者に依頼しましょう。
ALC住宅の陸屋根メンテナンスも重要
ALCパネルを使用した住宅は、マンションのようにALC造(または鉄骨ALC造)であることが多いです。鉄骨の骨組みの周りをALCパネルで囲っていく造りになっています。その場合、屋根はフラットな形状の陸屋根であることが多いです。勾配屋根とは異なり、陸屋根は傾斜のない平面上の状態で、屋上スペースとして有効活用できます。
外壁塗装を行う際には、同時に陸屋根の塗装メンテナンスも必要です。特に陸屋根の場合、平面であるため、水はけが悪く雨水が溜まりやすいこともあります。これはベランダやバルコニーも同様です。防水層の劣化は雨漏りに繋がりますので注意しましょう。陸屋根には、伸縮性の高い防水シートやウレタン塗装による防水が必要となります。
外壁メンテナンスを行う時は、陸屋根の防水・塗装メンテナンスを同時に行いましょう。業者の中には、防水工事を行っていない場合もありますので、依頼する時に確認すると良いでしょう。
私たち「街の外壁塗装さん」では、外壁塗装や屋根工事、防水工事全てを承っております。安心してご相談ください。
ALCパネルの塗装事例と流れ
築年数10年のALCパネルのお住まいです。白とブルーグレーのバイカラーのコントラストが美しい外観ですが、シーリングのひび割れやパネルの劣化にご不安をお持ちで、「新築同様にしたい」というご要望でご相談いただきました。
点検の様子
まずは、入念に点検を行います。新築から10年が経過していますが、大きなトラブルはなく、今回の早めの塗装メンテナンスで、機能面・美観面を長期的に維持する上では良いタイミングの塗装となりました。
目地のシーリング材が劣化すると、雨水が侵入しやすくなりますから、注意して見ていかなければなりません。シーリング部分の劣化はさほど進んでいないようです。
次に、サッシ周りを見てみると、サッシ枠のひび割れがかなり進んでいます。外壁の傷みも気になる状態でした。
足場の仮設と高圧洗浄
施工工程としては、まず、足場仮設を行い、高圧洗浄で苔や汚れを洗い流してからの作業となります。ALCパネルの場合、高圧の水流で削れてしまうこともありますので、慎重に汚れを落としていきます。この段階で苔や汚れが残っていると、下塗りの塗装ムラで、後々塗膜が剥がれてしまいますので、この洗浄作業も丁寧に行います。
シーリング材の打ち替え
次に、シーリング材を除去し、下塗りのプライマーを塗ってから打ち替えを進めていきます。シーリング材を充填し、十分に乾燥させます。使用するシーリング材は長寿命のオートンイクシードです。
外壁塗装
次に、外壁塗装工程へ進みます。まずは下塗りですが、耐用年数を長く保つように、今回は下塗りを2回行うことにしました。使用するのは、パーフェクトフィラーとシーラーです。
グレイッシュブルーのALCも2回の下塗りをおこなってから上塗りに入ります。
2回の下塗りの後、上塗り作業に入ります。今回は、艶消し塗料を選択されました。上塗り塗料として使用するのは、日本ペイントの「パーフェクトトップ」です。
パーフェクトトップは、高耐候性・高光沢・防藻・防かび性・低汚染性が特長で、水性塗料であるため臭いが気になりません。また、透湿性が高いため、ALCパネルの塗装に適しています。耐用年数は12~15年程度です。シーリング材も同程度の耐用年数が見込めますので、次回のメンテナンス時期を合わせることができます。
竣工
付帯部分である雨樋などの塗装を行って、竣工となります。艶消しのホワイトとグレイッシュブルーで、ご要望通り、新築と見間違えるほどの仕上がりになりました。
今回のお住まいは築年数10年でメンテナンスを実施されました。まだまだ綺麗な状態でしたが、早期に塗装し直したことで、外壁材・塗料の本来の機能を最大限に活かすことが期待できるでしょう。
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