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    更新日 : 2024年05月16日

    更新日 : 2024年05月16日

    外壁のシーリング(コーキング)とは?補修方法や注意点を解説

    シーリング打ち替え

     日本では、約9割の家屋に外壁材としてサイディングが採用されています。サイディングの種類はさまざまで、窯業系(セメントが主原料)や金属系などがあります。これらは工場で生産され、多くは幅500mm×長さ3,000mm程度の大きさの1枚のボードに仕上げられ、現場で外壁として貼られていきます。複数のボードを貼り合わせて外壁にするため、必ずサイディングボード同士の継ぎ目(目地)ができます。継ぎ目部分から雨水等を侵入させないために用いられるのがシーリング材です。コーキング材という呼び方もありますが、基本的にはどちらも同じものを指します。
     本記事では、年数の経ったシーリングの補修方法や打ち替えのタイミング、注意点などを解説します。お住まいのシーリングのひび割れなどが気になっている方は、ぜひ参考になさってください。

    【動画で確認「シーリング」】
    長い文章のページとなっていますので、内容を動画でもまとめています。

    動画で見たいという方は是非ご覧ください!

    シーリング(コーキング)とは

     シーリング(コーキング)とは、サイディングやALCパネルのような外壁材の継ぎ目を埋めるために充填されるペースト状の建材です。外壁以外にも、サッシ・玄関ドア周り、室内のキッチン・浴室・洗面所などの水周りの目地を埋め、防水性を高めるために使われます。目地に充填すると徐々に硬化していき、弾性を保った状態でその機能を発揮します。
     外壁のシーリングの主な役割は下記の2点です。

    水の浸入を防ぐこと(防水)
    建物の揺れに合わせて外壁材等の破損を防ぐこと(緩衝)
    通常、サイディングボードやALCパネルなどには、等間隔で1~2

     通常、サイディングボードやALCパネルなどには、等間隔で1~2㎝幅の目地部分があります。この目地部分を設けることで、隙間に充填したシーリング材が緩衝材としての役割を発揮し、外壁材同士がぶつかることを防いでいるのです。そのため、シーリング材には柔軟性が求められます

    なぜ目地はあるの?
    主に、温度や湿度による伸縮や歪みを調整し、地震の揺れなどによる破損を防ぐためです。
    寒暖によるシーリング材の伸縮図

     写真のように、目地があることで寒暖の際の伸縮や地震の際の揺れによる外壁材の破損を防いでいます

    シーリング材はサイディングボードの伸縮や地震時の揺れを吸収する緩衝材の役割を担っています

     サイディングは、大抵、幅500mm×長さ3,000mm程度の大きさの1枚のボードに仕上げられています。技術的にこれより大きいサイズのボードを作るのが難しいわけではなく、運搬や施工時の便宜を考慮してこの大きさが一般的になっています。これより大きくなると運びにくく、施工が難しくなります。

    目地や繋ぎ目がないモルタル外壁はひびが入りやすい

     では、目地のない外壁材にすれば目地の劣化を気にする必要はないのでしょうか。繋ぎ目のない外壁としてモルタルがありますが、モルタルにもデメリットはあります。最大のデメリットはひび割れです。ひび割れができてしまうと、雨水が浸透しやすくなるため、シーリング材による補修が必要となるのです。モルタル外壁はデザイン性に優れ、継ぎ目がないため綺麗に仕上がるのがメリットですが、工程が複雑で手間が掛かり、コストが高くなることから、近年では施工数が減少しています。
     また、モルタルのお住まいであっても、サッシや玄関周りにはシーリングが必要です。

    クラックが発生したモルタル外壁
    雨水が入り込まないようシーリング補修

     冒頭にも触れたように、シーリング材はコーキング材という呼び方をされることもあります。かつては使用用途が違っていましたが、現在は、どちらも目地や隙間を埋める充填剤として同じ建材を指します。

    シーリングとコーキングは同じ意味と材料です

     シーリング材(コーキング材)は、使用用途によって使用する種類が異なります用途を間違えて使用してしまうと、本来の機能を発揮できませんので、注意が必要です。ホームセンターなどで売っているシーリング材を購入して、ご自身で補修を行う際には、どの場所に、どのシーリング材を使うべきなのか、予め確認した上で使用されることをオススメします。

    豊富なシーリングの種類

     下の図にあるように、シーリング材の種類は、大きく1液型と2液型に分かれます。1液型は主剤だけで使用するタイプで、2液型は主剤と硬化剤の樹脂を混ぜ合わせたタイプです。2液型は乾くのが早くて扱いにくいため、使い方に慣れた職人でなければ困難でしょう。また、現場で混ぜ合わせてその日のうちに使わなければならないので、余分が出ると無駄になってしまいます。

    シーリング材を使用して補修する際には必ずシーリング材の種類(特性)を把握した上で使用しましょう!

     種類はさらに、アクリル系・ウレタン系・変性シリコン系・シリコン系に分かれます。外壁に使用されるのは、ウレタン系か変性シリコン系です。下の図の4種類の特性を簡単にご説明しましょう。

     アクリル系は、水性タイプで作業性に優れ、比較的安価ですが、その分耐候性・耐久性はやや遅れをとります。耐久性を持たせたいメンテナンスには不向きと言えます。
     ウレタン系は、耐久性が高いのが特徴です。弾力性を持つので、外壁の目地やひび割れ補修にもよく使われます。
     変性シリコン系は、耐候性に優れています。ウレタンが主原料で、硬化した後に塗装ができるため、外壁の目地に使われます。
     シリコン系は、耐水性・耐熱性に優れ、価格も比較的安価です。主に室内のガラス・キッチン・浴室・洗面台などの目地に使用されます。

     サイディングの張り方には縦張りと横張りがあります。単なるデザインの違いと思われるかもしれませんが、実は目地の多さやメンテナンスなどにも影響がありますので、確認していきましょう。

    サイディングが縦張り
    サイディングが横張り
    ※図はニチハ株式会社、設計施工資料PDFデータ、設計施工資料集:モエン標準施工編 2019年版より参照

    サイディングの縦張り
     縦張りとは、縦向きにサイディングを張り付ける工法です。この場合、胴縁(下地となる木材)と目地は横向きになります。雨が流れやすくシーリングが少ないのが特徴です。メンテナンスの際も施工箇所を少なくできるためコストパフォーマンスを考慮してもメリットがあります。また、縦向きの外壁材は目地の必要のないタイプもあります。

    サイディングの横張り
     横張りとは、横向きにサイディングを張り付ける工法です。この場合、胴縁と目地は縦向きになります。サイディングの多くは横張りタイプが多く、人気があります。また、縦張りよりも強度が高く、施工も容易にできるのが特徴です。ただ、縦張りに比べると雨水が溜まりやすく、シーリングが多いのがデメリットと言えます。メンテナンスの際に手間が掛かることも気になるところです。

    胴縁と縦張り
    胴縁と横張り
    縦張り
    横張り

     ALCパネルは、一般的にサイディングよりも小さいサイズの設計になっているため、縦・横どちらともシーリング施工しているケースが多く見られます。シーリングの施工範囲は、下の図のように、縦張りが一番少なく、ALCが多くなります。シーリングの打ち替えメンテナンスも念頭に置いて、新築や外壁の張り替えメンテナンスを検討される際の参考になさってください。
     また、外壁には目地がなくても、サッシや玄関周りには必ずシーリングが施工されていますので、補修メンテナンスを忘れずに行うようにしましょう。

    シーリングの施工範囲
    目地がないというお住まいでもサッシ廻りはシーリング材が打設されています
    シーリングは重要な部分だけど最も傷みやすいという不都合な現実

     シーリング材にも耐用年数があります。一般的な外壁材は10年程度で塗装メンテナンスの時期を迎えます。しかし、シーリングの場合、お住まいの立地条件や気候条件など環境によっては、施工から3年程度経過すると劣化が始まる場合があります。
     シーリング材は、紫外線や風雨・温度変化の影響を受けながら徐々に劣化が進んでいくのです。

    シーリングは傷みやすい箇所
    外壁塗装と同時にシーリング工事を行えば、足場を仮設が1回で済み、大変お得

     シーリング材は外壁材よりも先に耐用年数を迎えます。たとえ、必要なメンテナンスがシーリングの打ち替えだけであっても、足場仮設が必要になり、足場代がかかってしまうので、外壁材とシーリング材のメンテナンスはできるだけ同時に行うことをオススメします。
     シーリング材の中には、15年を超える耐用年数を有するタイプもあります。外壁材と同時にメンテナンスを行う際には、外壁材とシーリング材の耐用年数が同程度のものを選ぶと、次のメンテナンス時期を合わせられるでしょう。

    15年超の耐用年数を誇るシーリング材オートンイクシードの詳細はこちら
    シーリングの補修に足場仮設は必要?
    一部の補修を除き、足場仮設は必要です。

     お住まい全体のシーリング材を打ち替える場合、外壁同様、高所作業となりますので、足場仮設は必要になります。そのため、足場コストを考慮すると、外壁材とシーリングのメンテナンスは同時に行うと良いでしょう。さらに言えることは、屋根材のメンテナンスにも足場は必要ですので、屋根・外壁・シーリングのメンテナンスは同時に行うことが理想的と言えます。

    横目地
    縦目地

    横目地の場合…
     上の写真のとおり、サイディングが縦張りの場合には、目地は横目地になります。横目地は雨水が横に走ってしまうため、一見、部分的な補修で良いと思えても、劣化が複数箇所に及んでいることもあります。

    3mほど高い場所にあるシーリングをまとめて補修するには足場が必要不可欠です。

    縦目地の場合…
     上の写真のとおり、サイディングが横張りの場合には、目地は縦目地になります。縦目地の場合、高所の脚立作業は危険が伴います。安定した足場がないと綺麗な施工はできないため、足場仮設は必須になります。

    表面の汚れやシーリング材の痩せ・硬化・ひび・切れる・剥がれ・隙間・剥落などの症状は出ていませんか
    シーリング材も紫外線、雨、温度差によって劣化していきます

     外壁材同様、シーリング材も、紫外線・風雨・温度差の影響を受け、劣化が進みます。シーリング材が劣化すると、柔軟性(弾性)が失われ、ひび割れや剥離などの現象が起きるのです。
     シーリング材には、柔軟性を持たせるための可塑剤が含まれています劣化した状態のシーリング材は表層に可塑剤が染み出して黒ずんでしまいます。こうなると、美観を損ねるだけでなく、シーリング材としての機能を保てなくなりますので、打ち替えが必要となるのです。

    可塑剤が染み出し乾燥した輪ゴムは伸縮性がなく簡単に切れてしまいます。シーリング材も同様に劣化していきます

     身近なところでご説明すると、輪ゴムやクッションフロアなどに可塑剤は使われています。古く、柔軟性が失われた輪ゴムが切れてしまった経験がある方も多いのではないでしょうか。長年放置していた輪ゴムにベタつきが生じるのは、可塑剤が染み出している証拠です。

    可塑剤が染み出て汚れたシーリング

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