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更新日 : 2024年05月17日
更新日 : 2024年05月17日
外壁塗装・屋根塗装の塗料にメーカー保証が付かない理由を解説
【動画で確認「塗料メーカーの施工保証がない理由」】
長い文章のページとなっていますので、内容を動画でもまとめています。
動画で見たいという方は是非ご覧ください!
目次
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なぜ、外壁塗装や屋根塗装などの塗装工事に使用される塗料には、一部の外壁材や屋根材に備わっているメーカーの保証が存在しないのでしょうか?
当然のことですが、住まいの外壁塗装や屋根塗装を実施した場合、施工箇所の屋根材や外壁材の状態、使用する塗料に応じて、ほとんどの業者が一定期間の保証を提供しています。
この保証期間中、「塗膜に亀裂が生じた」、「塗装が剥がれた」といった問題が発生した場合、一般的には施工した会社が塗り直しや補修を行ってくれることが大半です。
このような工事に関連する保証は、「施工保証」と呼ばれています。
この施工保証、施工する業者によって保証期間が全然異なります。たとえ、同じ状態の外壁材に同じ塗料を使用して塗装しても同様です。例えば、現在人気のある塗料である「パーフェクトトップ」の場合、街の外壁塗装やさんでは最長12年の保証を提供していますが、業者によっては最長6年程度の保証期間になります。
また、住まいの状態は千差万別ですので、同じ業者であっても住まいごとに保証期間の長さが異なってきます。
製品によって異なりますが、屋根材や外壁材の場合(葺き替え工事や張替え工事)にはメーカーから一律の保証が受けられます。(保証のない製品や、初期不良だけ保証してくれる製品もあります。)
しかし、外壁塗装や屋根塗装の塗料には、メーカー保証が付帯しないのが一般的です。
同じ外装リフォームであるのに、塗料だけメーカー保証が付かないことには理由があります。塗装工事が数多くの工程の果てに完了する工事であり、完成までに管理しなければならない項目が多岐にわたるからです。
※ごく一部ですが、塗装後の保証を行っているメーカー・製品も存在します。
外装リフォームにおける3種類の保証
外装リフォームには、主に3種類の保証が存在します。製品保証・メーカー保証・施工保証(自社保証)です。安心してリフォームいただくために、これらの保証の違いについてご説明しましょう。
製品保証
製品メーカーが自社の製品に対して設ける保証。使用前の初期不良や正しい使用方法であるにもかかわらず発生した不具合が保証対象です。外壁塗装や屋根塗装で使用する塗料においても、製造過程・輸送過程における問題や初期不良が見られた場合には迅速に対応してくれます。
メーカー保証
こちらも製品メーカーが自社製品に対して設ける保証のことです。先述の製品保証はメーカー保証の範疇に含まれます。加えて、外壁材や屋根材などの建材の場合、メーカーの規定通りに行われた工事や加工も保証範囲に含まれます。工事の完了後も一定期間の保証が設けられる場合があります。
施工保証
外壁塗装、屋根塗装の際、施工した業者がお客様にたいして設ける保証です。保証期間は施工箇所の状態や使用した塗料に基づいて決定されます。保証の範囲や期間は業者ごとに異なり、業者独自の保証や業者が所属する団体や組合による保証が提供される場合もあります。
外壁材や屋根材メーカーによる実際の保証内容
先述した通り、外壁の張替えやカバー工法、または屋根葺き替えや屋根カバー工法を行った際には、使用した建材のメーカーが保証を提供しています。ここでは、具体的な例として、ニチハの窯業系サイディングやアイジー工業の金属屋根材の保証内容をご紹介しましょう。
ニチハ株式会社:窯業系サイディング外壁材のメーカー保証
ニチハ株式会社は住宅会社様を対象に外壁材(塗装品)に対して【製品本体保証】を実施しています。
■保証対象品: 窯業系外壁材(塗装品)本体および同質出隅
<保証内容 10年>
外壁材本体の割れ、欠損、反り
※割れ:全幅、全厚にわたり割れている状態。ただし、切断、加工した部分を起因とする不具合は除く。
※欠損:一部が欠け損じ、壁体内が見える状態。
※反り: 壁体内が見える、または455mmのスパンに対して矢高が5mm以上の状態
<保証内容 2年>
外壁材本体の亀裂、反り
※亀裂:幅0.2mm、長さ50mmを超えるもの。
※反り: 455mmのスパンに対して矢高が3mm以上5mm未満の状態。
外壁材本体および同質出隅の塗膜の著しい剥離・変褐色(沖縄県は除く)
※著しい剥離・変褐色:施工年数を考慮しても見苦しく、社会通念上、明らかに補修が必要な状態を言います。
■保証期間
外壁施工完了日からの保証にとなります。なお、本保証によって保証が行われた場合でも保証期間の変更はありません。また、保証によって弊社製品が使用された場合でも、これにより新たな保証を実施するものではありません。
※ニチハ窯業系外壁材の保証について.pdfより引用
重要なのは、保証の対象が「住宅会社」であるということです。つまり、施工を請け負う業者が保証の対象となります。
工事を依頼するお客様ではないので注意が必要です。もし何らかの問題が発生した場合、お客様から施工業者へ連絡し、業者が調査を行ってからメーカーに連絡を取ります。
例えば、外壁の交換や張り替えが必要な場合、業者はメーカーから保証の外壁材を受け取り、その後に建物の補修工事を行うことになります。
アイジー工業:金属屋根材のメーカー保証
■製品保証:登録いただいた建築物に対し、保証規定に基づいて保証します。(元請業者様に対して保証を実施しています)
【アイジールーフ】
塗膜15年保証、赤さび20年保証、穴あき25年保証
<保証の対象>
対象商品:スーパーガルテクト、スーパーガルテクトC
<保証期間>
施工完了後より以下の期間とします。但し、本製品が製造日から1年を経過してから施工使用された場合には製造日から以下の期間とします。
・塗膜については15 年間。
・赤さびについては20 年間。
・穴あきについては25 年間。
<保証内容>
保証内容は、次のとおりとします。
・3-1.穴あき
塗膜の劣化や腐食によって、鋼板表面に明らかな穴あきが認められないことを保証します。
・3-2.赤さび
赤さびの発生面積が、全施工面積の5%以下であることを保証します。
・3-3.塗膜のひび、われ、はがれ、ふくれ
2m離れて目視し、塗膜のひび、われ、はがれ、ふくれが著しく目立たないことを保証します。(変褪色を保証するものではありません)
<補償方法>
保証期間中に万一保証内容に抵触するような事態が発生した場合は、その欠陥を生じた製品について状況に応じ、次のような方法で補償します。但し、弊社は保証内容に抵触するか否かの判定権及び以下の方法のうち、その責務を履行するために用いる方法についての決定権を保有するものとします。この補償実施後の保証期間は、2項所定の各期間から補償実施までの経過時間を差し引いた残期間とします。
4-1.塗り替え塗料の支給
4-2.再塗装工事費の負担
4-3.代替製品の支給
4-4.再施工工事費の負担
4-5.その他、前4-1~4以外に保証者が最も最適と判断した方法による補償
※各種技術資料・ダウンロード(製品保証) 塗膜15年保証、
赤さび20年保証、穴あき25年保証より引用
こちらも先と同様に、保証の対象が「元請業者様」となっている点に要注意です。建物の所有者であるお施主様ではありません。メーカーの仕様書や説明書に基づいて工事が行われているという前提の上、業者に対して保証が提供されているのです。
塗料メーカーが外壁・屋根塗装に保証を行わない理由
外壁材や屋根材の保証は、業者がメーカーの仕様書や説明書に基づいて正しく施工するという信頼の上に成り立っています。
では、なぜ外壁塗装や屋根塗装においては保証が提供されないのでしょうか。この点について、私たちは日本の主要な塗料メーカー3社に問い合わせてみました。
「戸建て住宅の保証は特に行っておりません。それは実際に現場で実際に施工するのは各業者で、弊社のマニュアル通りに作業が進められているか管理するのが難しいからです。
大規模な建物の改修工事で、弊社が現場調査員を派遣したりする場合は保証をお付けすることもあります。」
「大きさや施工する総面積にもよりますが、マンションなどの大規模な建物の改修の場合、保証をお付けするケースもあります。
戸建て住宅について保証は行っておりませんが、業者独自で保証を行っていることは存じています。」
「戸建て住宅では特に行っておりません。理由は施工の品質管理をすることが難しいからです。
大規模な建物の改修で弊社が調査するような場合には保証をお付けする場合もあります」
品質管理が困難なため、メーカー保証が提供されない
いずれのメーカーも同様の回答でした。戸建住宅での施工には保証を提供していない一方、大規模な建物の改修保証が提供される場合もあるという内容です。戸建住宅での施工に保証が提供されない理由として「施工の品質管理が難しい」というのが3社共通の理由でした。
全国には約5万の建物塗装業者が存在すると言われていますが、すべての業者がメーカーの推奨する方法で施工しているわけではないという実態もあります。実際、塗装工事での施工不良が頻繁に報告されており、メーカーが予想する耐用年数の3分の1程度の期間で問題が生じてしまうこともあります。
塗料は未完成の”半製品”
メーカーが保証を提供できない理由は他にも存在します。長年外壁塗装に携わってきた業者たちは、よく「塗料は半製品だ」と言います。
それは、塗料が屋根や外壁に塗られ、乾燥して初めてその目的を果たすからです。塗布される前の塗料では、求められる防水性も耐久性も発揮せず、未完成な状態であるため、未完成な製品=半製品と言われています。
先述の外壁材や屋根材と比較してみましょう。外壁材や屋根材はメーカーから出荷される際、ある意味では建築資材として完成しています。それらは加工なしで取り付けることができ、雨にさらされても問題ありません。
一方塗料は、施工現場で撹拌しなければなりません。2液型であれば、主剤(塗料)と硬化剤を正しい比率で混ぜ合わせる必要もあります。塗装後、塗料が乾く前に雨が降れば塗料が落ちてしまうこともあります。外壁材、屋根材との大きな違いは、メーカー出荷時点では製品が発揮する性能が担保されていないということでしょう。
外壁材や屋根材と同様に、塗料もメーカーの検査を経て出荷されますが、その後に仕上げ工程が待っています。外壁材や屋根材は施工するだけで完成ですが、塗料は施工技術に大きく左右されます。しかも、その品質はメーカーの管理範囲外で行われるため、メーカーが保証することは難しいのです。
メーカーが現場を管理するのは不可能
全国には約5万もの塗装業者が存在すると言われています。
もし、これらの業者が全国各地でフル稼働していると考えると、5万の現場が同時進行していることになりますが、さすがに非現実的ですので、その10分の1としてみましょう。日本全国で約5,000の現場なので、各都道府県ごとに約100の現場があるとしましょう。
この数字でもメーカーが管理するのは現実的ではありませんので、大規模な現場のみに限定して調査や管理を行っているのでしょう。
メーカーとしての本来の目標は、より優れた製品を開発することです。耐久性が高く、取り扱いが容易な塗料を作り出すことが使命なのです。実際に、各種塗料の耐久性や取り扱いのしやすさは着実に向上しています。近年では、使いやすさや塗布のしやすさを重視したレオロジーコントロールの研究も活発に行われています。塗料の世界シェアトップ10に日本の塗料メーカーが2社ランクインしていることからも、技術力の高さや企業努力が伺えます。
メーカーが開発した塗料を適切な手順と管理された環境で施工することにより、初めて塗料は完成品となり、お住まいの防水性や健全性を守ってくれるのです。
レオロジーとは、物体の粘性や流動性を表します。一般的に液体などの場合は、温度が変化しなければ粘度は一定と考えられますが、実際にはかき混ぜたり圧力をかけたりすることで大きく変化します。
塗料の場合、かき混ぜるなどの力を加えると粘度が低くなりますが、圧力をかけるのを止めると粘度が高くなります。塗料をローラーや刷毛で塗布する際は圧力がかかり粘度が低くなるため、塗りやすいのですが、外壁などに塗られた後は重力以外の力がかからないため、粘度が高まり、垂れにくくなります。
マヨネーズやケチャップも同じ性質を持ち、圧力をかけると粘度が低下しすぎてしまうことがあります。
適切な工程を経なければ、想定される耐用年数を発揮できない
外壁塗装や屋根塗装にはたくさんの工程があります。主な工程は、高圧洗浄や下地調整のケレン、下塗り、中塗りと上塗りで構成されます。これらの工程はどれも重要で、過不足があるとメーカーの想定通りの仕上がりや耐用年数を実現することができません。
汚れだけでなく、脆弱な塗膜も除去します。剥がれかかっている塗膜の上に塗装を行っても、すぐに剥がれ落ちてしまうからです。
さらに、高圧洗浄後は十分な乾燥時間を確保しなければなりません。湿った状態で塗装を行っても、強固な塗膜が形成されないためです。
塗装する面の汚れや錆を除去する作業を「ケレン」と呼びます。また、滑らかな金属面や樹脂面に対し、ヤスリなどでわざと微細な傷をつけ、塗料が流れ出さないように接着面積を増やすことも下地調整の一環です。
仕上げ用の塗料を塗装面にしっかりと密着させるために行われます。塗る箇所の状態に応じて、同じ塗料を2回下地処理する場合もありますし、異なる塗料を重ね塗りすることもあります。これら塗料の選択や塗布回数の判断には、実践的な経験が求められます。
中塗りと上塗りは同じ塗料、同じ色で行います。色が同じなので、注意を怠ると「ある箇所は2回塗ったけど、ここはまだ1回しか塗っていない」というミスが生じる可能性があるため、慎重に確認する必要があります。
現場での管理項目は多岐に渡る
天候の管理
天候は我々がコントロールできない要素ですので、都度、現場の天候に合わせて作業計画を調整しなければなりません。
作業予定日の気象予報は勿論ですが、実際の作業日においても天候は常に注目しています。特に夏季には急な豪雨なども発生することがありますので、多くの職人が天気アプリを導入しています。
時間の管理
各作業の時間管理も非常に重要です。たとえば、高圧洗浄や重ね塗りの際にも、適切な乾燥時間が確保されなければ、耐用年数が予定よりも短くなってしまいます。また、重ね塗りの乾燥が不十分な場合、仕上がりが鮮明でなく、くすんだ色になる可能性もあります。
乾燥時間は天候や使用する塗料によって異なりますので、注意が必要なポイントです。また、めったに起こることではありませんが、塗装が完了してから次の重ね塗りを行うまでに時間を空けすぎてしまう(約7日間以上)と、重ね塗りができなくなってしまう塗料もあります。
塗料の管理
次に、業者が仕事に対してどのような姿勢で臨むべきかについてお話しします。水性塗料の場合は水で、溶剤系(油性)塗料の場合はシンナーで希釈しますが、メーカーが指定する希釈率で薄めることが求められます。ところが、中には「薄くすれば塗りやすくなるし、塗料の費用も節約できる」と考えて、規定以上に希釈してしまう業者も存在します。
塗料の配合率にも注意が必要であり、本来ならば塗料と硬化剤の重量をしっかりと計量して配合する必要がありますが、目分量で作業を行ってしまう業者も存在します。最近の塗料は性能が向上しているため、配合率が少し異なっていてもすぐに問題が生じるわけではありませんが、耐用年数に影響を与えます。
天候や乾燥時間、塗料の取り扱いなど、現場での管理項目は多岐にわたります。これらの要素が一つでも欠けると、品質の高い工事とは言えません。
メーカーは各種塗料の仕様書やマニュアルを提供していますが、これらがすべて正確に遵守されているかは把握できません。
このような状況であるため、メーカーが保証をすることは困難なのです。
外壁塗装は施工業者によって仕上がりが左右されるため、業者選びは慎重に
ご説明してきた通り、外壁塗装・屋根塗装では多くの守るべき事項が存在し、適切に管理する必要があります。
外壁塗装や屋根塗装の成功には、塗料の品質だけでなく、業者の知識や経験などの技量が大きな役割を果たします。
当社は施工品質への自信から、最長15年間の保証を提供しています。
また、予期せぬトラブルに備えて、リフォーム瑕疵保険への事業者登録も行っています。保証期間だけでなく、リフォーム瑕疵保険や過去の実績、お客様からの評価なども考慮して業者を選ぶことが重要です。
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