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更新日 : 2024年05月22日
更新日 : 2024年05月22日
放置は危険!?建物を支える基礎のひび割れ。原因と対策を紹介
家の基礎部分にひび割れを発見した時は、誰でも不安になるものです。たとえそれがわずかなものであっても、大切なお住まいに傷が付いてしまったような気がして心配になる方も多いようです。ひび割れを発見した時、真っ先に思うのが「放置していても大丈夫なのだろうか?」ということでしょう。
結論から言えば、状況によってはそのままでも問題ない場合と早めに修繕をしたほうが良い場合があります。
今回は、基礎のひび割れがおこる理由、修理が必要か判断するための基準や補修方法についてご紹介します。基礎を保護するためにおすすめしたい塗料も併せてご紹介しますので、是非ご参考になってください。
目次
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基礎とは家の土台部分のことです。一般的にコンクリートが使用され、家を支える重要な役目を果たしています。1981年6月から施行された「新耐震基準」によって、基礎は鉄筋コンクリート造でなければならないと定められています。
また、基礎には種類があり、一般住宅の場合は「布基礎」もしくは「ベタ基礎」、それ以外の建物の場合は「独立基礎」が採用されています。
独立基礎
大規模なショッピングモールやマンション、オフィスビルなど大きな建物の建設に用いられる方法です。基礎が、柱それぞれに単独で設けられています。また、個人宅の場合でも、玄関ポートなどに用いられることもあります。
布基礎
建物の外周部と部屋の間仕切りの下だけに基礎が設けられており、この部分だけに鉄筋が使用されています。床部分などは鉄筋が入っておらず、薄い厚さのコンクリートが施されています。布基礎は、築年数が経過した古い住宅に多く見られる基礎工事で、コストを抑えて施工ができるのが魅力です。
ベタ基礎
部分的に鉄筋が使用されている布基礎と異なり、建物の床面全体を鉄筋コンクリートの基礎で覆うのがベタ基礎です。面で建物を支えることができるので耐震性が高いほか、建物が地面から上がる湿気の影響を受けにくく、腐食しにくいといった利点があり、シロアリなど害虫の被害も防ぎます。基礎が沈下しにくいのもメリットの一つとして挙げられるでしょう。耐久性が高く、施工も容易なことから、近年の住宅では最も多く用いられます。
家の基礎にひび割れができる原因はいろいろあり、ちょっとしたことでもできることがあるので、すでに経験されたことがある方も多いかもしれません。地盤の状況や耐震性に問題があってひび割れが起こった場合は速やかに対応することが望ましいですが、それ以外の原因で発生し、気にする必要のないケースもあります。
次に、どのような原因で基礎にひび割れができるのかご紹介します。
原因①:乾燥収縮
基礎に生じるひび割れの中で、特に多いのが乾燥収縮によるものです。コンクリートの中には水分がたくさん含まれているのですが、時間が経つにつれて水分が蒸発していきます。これによってコンクリートが収縮して引っ張られ、ひび割れが起こります。基礎打設時の影響が大きいです。
原因②:気温の変化
コンクリートは、気温の急激な変化によって伸び縮みします。気温が高くなると膨張し、低くなると収縮する特徴があるのですが、それがひび割れの原因になることがあります。特に、夏に建てられた住宅が寒い冬を迎えた時に多く見られるのですが、これはコンクリートの引張強度よりも縮む力の方が強かったことが理由です。
ほかにも、寒くなったことでコンクリート内部の水分が凍結して膨張し、氷が解けた時に緩むという状況を繰り返し、ひび割れにつながることもあります。こちらも基礎打設時の影響が関係します。
原因③:不同沈下
軟弱な土地に建物をつくってしまうと、トラブルが起こりやすい傾向があります。地盤が沈下して傾斜することがあるのですが、これも基礎がひび割れを起こす原因の一つになります。
不同沈下が生じると、基礎部分だけへの影響にとどまらず、外壁などにもひび割れが発生することがあります。さらに地震が発生すると、場合によっては建物の修繕に多額の費用が必要になったり、倒壊して住めなくなってしまったりすることもあります。
原因④:コンクリートの中性化
コンクリートはアルカリ性ですが、長い年月を経て中性化していきます。これは、空気中の二酸化炭素とコンクリートに含まれる水酸化カルシウムが化学反応を起こすことが理由です。中性化すると、中に入っている鉄筋が錆びることで膨張し、コンクリートを押し出すため、ひび割れや剥離が起こります。そのまま放置すればさらに悪化するため、建物そのものの持ちも悪くなります。
原因⑤:地震災害
少々の地震であればそれほど影響がありませんが、大きな地震が発生した際はひび割れの心配があります。特に、建てられてから長期間過ぎている建物は、どうしても基礎が経年劣化してしまいひび割れが起こりやすい傾向があります。
原因⑥:耐用年数の超過
躯体や外壁などと同じように、基礎部分も耐用年数があります。目安としては、30~40年くらいですが、これを過ぎるとひび割れなど様々な症状が現れてきます。基礎の耐用年数について、想像よりも短く感じる方もいるかもしれませんが、これはコンクリートの中の鉄筋が錆びて強度が下がることが理由です。
原因⑦:施工不良
あってはならないことですが、施工に問題があり基礎にひび割れが起こることがあります。基礎部分の工事の際、コンクリートが十分使われておらず、鉄筋から表面までの厚みが薄く強度が弱いと問題が起こりやすくなります。また、コンクリートの配合ミスや鉄筋の配筋ミスによってひび割れが生じることもあります。
先にご紹介したように、基礎のひび割れはそれほど珍しいものではありません。しかしながら、中には放置していると危険なものもあるため、日頃からチェックしておくことが必要です。
コンクリートの上に塗られているモルタルのひび割れは簡単な補修で対応できますが、基礎部分のコンクリートにひび割れが見られる場合は、早めに専門業者にご相談することをおすすめします。
次に、ひび割れが発生しているケースをいくつかご紹介します。
ひび割れ①
幅0.3mm・深さ4mm未満の「ヘアークラック」
ヘアークラックは、ごくわずかなひび割れです。劣化や乾燥などで起こるクラックですが、数が少なくうっすらとしたひび割れであれば、様子を見ていても良いでしょう。
ただし、幅0.3mm以上・深さ4mm以上あるひび割れが見られる場合は、基礎部分の補強工事が必要になります。鉄筋に影響していることがあるほか、構造そのものに問題が発生することもあるため、専門業者に相談することをおすすめします。
ひび割れ②
ヘアークラックが1m以内に3箇所以上集中している
ヘアークラックはあまり心配する必要がないひび割れではありますが、同じところにたくさんできている場合は要注意です。築年数が長い建物に見られることが多いのですが、新築物件でも発生することがあります。新築にこういった症状が見られる場合は、施工に問題がある可能性もあります。
ひび割れ③
横方向に延びているひび割れ
ひび割れは、縦にできる場合と横にできる場合があります。横にできている時は、構造そのものに原因がある可能性もあり、施工不良も考えられます。また、横だけでなく斜めにできている場合も同じ可能性が考えられます。放置していると、雨水が基礎の中まで入りこんで鉄筋が錆びてしまうこともあるため、早めに点検してもらうことをおすすめします。
ひび割れ④
基礎の上から下までひび割れている
基礎部分の上から下まで入ったひび割れを目にした場合も、要注意です。仮にひび割れの幅が0.3mm未満でも、補修したほうが良いでしょう。なるべく早く業者へ依頼してください。
ひび割れ⑤
基礎の剥がれと滑落
ひび割れに何ら対応することなくそのままにしていると、大きな割れができたり剥がれてしまったりすることもあります。ここまで悪化している場合、傷みがだいぶ進んでいるため、すぐに修繕する必要があります。
ただし、基礎部分にひび割れや剥がれが見つかった場合、それがコンクリートではなくモルタルの傷みであれば、心配しなくても良いでしょう。どちらか分からない方は、業者に見てもらうことをおすすめします。
基礎の補修工事には、大きく分けて5つの補修方法があります。
補修方法①:シーリング(シール工法)
ヘアークラックなどの比較的軽微なひび割れには、シーリングを使用して補修工事をおこないます。ひび割れの状況に合わせて、シーリング材や樹脂モルタルなどを注入します。
まず、ひび割れ部分の表面に付着した埃や汚れをきれいに取り除き、その後、シーリング材などを注入して最後に塗装をおこなって仕上げます。内部に雨水が侵入するのを防ぎ、ひび割れの悪化を抑えることができます。
補修方法②:Vカット(Uカット)工法
ひび割れ箇所に専用の電動工具でV字型、あるいはU字型の溝をつくり、シーリング材やエポキシ樹脂を注入する補修方法です。その後、モルタルを塗布して表面を整えていきます。シーリング工法は軽度のひび割れにおこなわれる工事ですが、Vカットはさらに幅が広いひび割れが見られる場合や、シーリング材を深い部分まで行きわたらせるのが難しいケースでおこなわれます。
横に広がった基礎のひび割れはVカット補修で目立たなくできる
横に広がっているひび割れが見られるケースです。今回は、外壁塗装と一緒に施工しました。はじめに、ひび割れ部分に沿って切り込みを入れます。こうすることで、補修材を深い部分までしっかりと注入することができます。
切り込みを入れた個所は、埃や汚れをきれいに取り除いてから、接着剤の役割であるプライマーを塗ります。次に、軽量で高強度の樹脂モルタルを埋め込み、表面部分を左官作業にて仕上げていきます。これによって、補修した跡が目立たなくなります。
補修方法③:エポキシ樹脂充填(ビックス工法)
細いひび割れの補修に用いられる工法で、幅0.1mm以下のヘアークラックにも樹脂を注入することができます。細かなひび割れがたくさんできている場合も採用される工法です。
ゴムチューブの注入器で、ゴムの圧力を活かして長時間かけてゆっくりとエポキシ樹脂を注入していきます。樹脂が固まったら注入器を外し、その後表面を平らに仕上げて完了です。ビックス工法の良いところは、細いクラックに対しても圧力によってしっかり充填できることです。
地震被害を受けた基礎にエポキシ樹脂充填で今後も安心
ひび割れ部分に先にシーリングを埋めておくことで、その後注入する樹脂のはみだしを防ぐことができます。
エポキシ樹脂がコンクリートの奥の微細なひび割れまで届くので、ひび割れの更なる悪化を防ぐことができます。
補修方法④:アラミド繊維シートの貼り付け
アラミド繊維は、非常に強度が高い材質です。これをエポキシ樹脂と併せて使用することで、さらに基礎の強度を上げることができます。鋼材と比較して、引力強度はおよそ7倍です。しなやかで丈夫なので、基礎の補修工事に最適です。耐震性が上がるといったメリットがあるほか、コンクリートの中性化に対する対策ができるのも魅力です。
基礎の補修工事をする場合は、下地処理した後にプライマーを塗り、アラミド繊維シートを貼り付けて、モルタルなどで表面を平らにします。
補修方法⑤:埋め戻し工法
基礎に生じる気になる症状には、ひび割れのほかにも、コンクリートの剥離があり、これをポップアウト(爆裂)現象と言います。ポップアウト現象は、コンクリートの中にある鉄筋が錆びて起こったり、水分が凍結と融解を何度も経たことで起こったりします。こういった症状が見られる場合に採用されるのが埋め戻し工法です。
コンクリートの問題部分を取り除き、鉄筋の錆びた部分を落としていきます。鉄筋の防錆処理を施した後、セメントモルタルやエポキシ樹脂軽量モルタルなどで埋め戻す作業を行います。
ポップアウト現象は放置していると雨水がコンクリートの中に入り込んでいきます。悪化すると、躯体が腐食し、耐久性が失われることもあるため早めに修繕することが必要です。
剥がれた基礎表面をエポキシ樹脂できれいに補修
築30年で基礎部分が大きく剥がれてしまった住宅です。
最初におこなうのは、剥がれた部分を削って取り除く作業です。内部を確認したところ、鉄筋が錆びていたため、周辺のコンクリートも併せて削りました。
次にプライマーを塗り、エポキシ樹脂で埋めていきます。エポキシ樹脂は金属やコンクリートに優れた密着性を発揮するため、確かな施工が可能になります。
最後は、表面をなめらかに整えていきます。劣化が酷かった基礎が、きれいな仕上がりとなりました。一日で施工が完了し、かかった費用はおよそ4.7万円です。
症状を見て適切な補修工事をする必要があり、専門業者でなければどの工法で補修するかは判断できないので、症状を確認してもらい、説明を聞いたうえで依頼してください。
ひび割れなど基礎のトラブルが見つかったら、適切な工事をおこない、最後に塗装をおこないます。これによって、基礎を保護することができます。
塗装することで以下のようなメリットがあります。
☑ 基礎の吸水性を抑え、雨水の侵入を防ぐ
☑ 防水性を高めることができる
☑ コンクリートの中性化を抑えて、鉄筋を錆びにくくできる
☑ 基礎がきれいに見える
☑ カビやコケの発生を抑える
コンクリートやモルタルは防水性がないため、むき出しの状態にしていては、また雨水を吸収してしまいます。その結果、ひび割れなどのトラブルが発生したり、内側の鉄筋まで影響してしまったりすることもあります。そのため、塗装して保護してあげることが必要になるのです。
また、コンクリートの中性化を抑え、鉄筋の錆びを防ぐことにもつながります。先にご紹介しているように、鉄筋が錆びてしまうと、膨張して基礎にひび割れや剥離などの問題が発生するだけでなく、場合によっては躯体そのものも傷めてしまうため、対策する必要があります。
基礎の塗装に適した塗料の紹介
基礎専用の塗料がありますのでご紹介します。
近い将来、屋根や外壁の塗装をお考えの方は、併せて基礎塗装を検討してみてはいかがでしょうか。
ガッツモルタルNo.1(ニッペホームプロダクツ株式会社)
水性フッ素系の着色吸水防止剤です。特徴は、フッ素の働きによって耐久性が高いことで、耐用年数は7〜10年となっています。素材の質感を消すことなく綺麗に仕上がるのも魅力です。また、透湿性が高く、内部からしみ出した水分によるコンクリートの膨れや剥がれなどを抑えることができます。コケやカビも防いで、綺麗な状態を長持ちさせてくれます。
水性シリコン浸透ガード(日本ペイント株式会社)
住宅用コンクリートに特化した浸透性吸水防止塗料です。吸水防止効果があるほか、コケやカビを防ぐこともできます。水蒸気透湿性にも優れ結露を防げるほか、中性化の防止効果もあります。
基礎ガード(菊水化学工業株式会社)
軽微なひび割れにおすすめの水性塗料です。上塗りの必要がなく、中性化を防ぐといったメリットもあります。密着性、防水性がある塗料です。
ベースプロテクト(エスケー化研株式会社)
こちらも、中性化を抑制する効果があります。通気性があり、水分による影響が起こりにくいといった特徴があります。中性化を防ぎ、コケやカビを防止しながら綺麗な状態を長持ちさせます。
ベースプロテクトで汚れた基礎もきれいに
土やホコリによって汚れが目立っていた基礎を、きれいに塗装した様子です。プライマーを塗布した後、砂骨ローラーで下塗りして砂材のように仕上げています。
さらに上塗りして、うつくしい基礎に蘇りました。
塗装に対応している業者はたくさんありますが、点検や補修まできちんとしてくれる業者ばかりではありません。中には、残念ながら十分な知識がないようなところもあるため、慎重に業者を選ぶことが必要です。
基礎は建物を支える大切な場所であるため、不具合のない状態が保てるようにしておく必要があります。時々実際に自分の目で確かめながら、違和感がある時は早めに対応することが、大切なお住まいを守るためのポイントでもあります。
基礎にひび割れや剥がれなど何らかの症状があり、自分で補修の必要性を判断できない時は、一度専門業者に相談することをおすすめします。問題に早めに対応できれば、症状を悪化させることなく安心して暮らせるのはもちろん、修繕費を抑えることもできるからです。是非、基礎の塗装をおこなって長持ちさせましょう。
街の外壁塗装やさんでは基礎の点検とひび割れの補修についてもご相談を承っております。無料にて点検やお見積りを実施しておりますのでご不明な点、ご不安な点がある場合にはお気軽にお問合せください。隅々まで点検をおこない、お客様がわかりやすいように丁寧にご説明させていただきます。
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