お住まいの外装メンテナンスと言えば「屋根」や「外壁」を思い浮かべる方も多いでしょう。しかし、実はもっとダメージを受けやすい箇所があります。
破風(はふ)・鼻隠(はなかくし)などは、屋根の先端にあって小さな箇所ながらも傷みやすい部分です。「破風からどんどん劣化していった」という住宅もよくあります。これらは、建物の端に存在するため風の影響を受けやすい他、紫外線や雨の影響も受けやすい箇所です。
破風や鼻隠しは住宅の劣化をおさえるためにも大切な役割を持っています。今回は、破風や鼻隠し、ケラバとは何なのか、そしてメンテナンス方法についても詳しくお伝えしていきます。
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更新日 : 2023年04月11日
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破風板・鼻隠し・ケラバとは?付帯部の重要な役割やメンテナンス方法を紹介
目次
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【動画で確認「破風・鼻隠し・ケラバの補修方法」】
長い文章のページとなっていますので、内容を動画でもまとめています。
動画で見たいという方は是非ご覧ください!
破風や鼻隠しってどこにあるの?
屋根のなかでもとてもシンプルな「切妻(きりつま)屋根」。まるで開いた本を伏せたような二等辺三角形が印象的な屋根です。建物の横から見て三角形の“斜辺”の部分が「破風」、そして破風の上側が「ケラバ」です。
屋根面の最も下がっている箇所を「軒先」、その先端を「鼻隠し」と言い、雨樋が取り付けられています。
「破風」も「鼻隠し」も屋根の先端にあり、「どちらがどちら?」と紛らわしい感じがするかもしれません。鼻隠しは屋根の傾斜の先、つまり雨が降った時、雨水が流れ落ちる先にあります。鼻隠しは陸屋根などを除けばほとんどの屋根に設置されていますが破風があるのは切妻屋根と入母屋(いりもや)屋根、片流れ屋根です。また、雨樋が取り付けられているのは「鼻隠し」で、破風には雨樋は取り付けられません。「破風」と「ケラバ」についてもほとんど同じ箇所に見えることから、「違いが分かりにくい」と言う方が多くいらっしゃいます。
「ケラバ」とは破風が取り付けられている場所のことを指し、「破風」とはケラバに取り付けられた部材のことを言います。
部位ごとに名称があると覚えるのも難しいですよね。問い合わせた時に「何て言ったらいいか分からない…」と言う場合は、「屋根の先の方・先端部分」などとお伝えいただいても大丈夫です。
破風も鼻隠しも、どちらも屋根の先端を守っている大事な箇所です。でも、似たような箇所にありながら異なる名称なのは不思議な感じがしますよね。それでは、破風や鼻隠しについて詳しく見ていきましょう。
まず、「破風板」についてです。太陽や雨は、建物の上側や横から影響をもたらします。上部からの刺激は屋根が守ってくれますが、横風もしくは下から吹く風は、破風板が受け止めてくれます。建物の側面に取り付けられた破風板は、“風を破る”という文字からもイメージできるように、風を受けて屋根裏へと風が吹き込まないようにしています。
鼻隠しは、垂木の小口を隠すために設置されています。垂木の小口のことを「鼻先」と呼称していたため、鼻先を隠す部材=鼻隠しと呼ばれるようになりました。
鼻隠しも破風板と同じように、横や下方向から雨風が吹き込むのを防ぐことが主な役割です。しかし、鼻隠しの場合は、雨樋の下地材にもなっています。
昔の住宅などでは鼻隠しがなく、化粧垂木に直接支持金具をつけ、雨樋を設置したケースもありましたが、近年の住宅では鼻隠しに雨樋が設置されています。
また、破風板と鼻隠しは見た目をよくする“美観”の目的も兼ね備えています。屋根を取り付けるときに骨組みが見えるのも美観を損ないますよね。破風板や鼻隠しを取り付けることで構造の複雑な部分を隠し、見栄えを良くしています。
また、防火性能を高める目的もあります。火災が起こったとき、火は下から上に向かって延焼していきます。破風板や鼻隠しに防火性能が高い素材を使用することで、火が軒先まで燃え移らないよう対策されているのです。
破風板や鼻隠しは、普段の生活ではあまり注目されない箇所です。しかし、屋根や外壁と同じように住まいの安全を守る大切な枠割を果たしているのです。
破風や鼻隠しなどは面積的にも小さく、傷みがあっても「少しくらいなら…」と軽視してしまう方が多くいらっしゃいます。そして、それ以上に「もっと早くにメンテナンスしていれば…」と後悔されるお客様の声をよく耳にします。
破風や鼻隠しなどは面積的にも小さく、傷みがあっても「少しくらいなら…」と軽視してしまう方が多くいらっしゃいます。そして、それ以上に「もっと早くにメンテナンスしていれば…」と後悔されるお客様の声をよく耳にします。
雨や風、日光の影響を直接受ける破風や鼻隠しは、お住まいの中でも傷みやすい部分になります。
劣化して傷んでくると、水分が浸透するようになり、破風や鼻隠しだけではなく、周辺の部位まで悪影響が広がってしまいます。破風や鼻隠しから浸透した水分が軒天へ、そして外壁・小屋裏へと広がり「雨漏り」となって屋内にまで大きな被害をもたらすケースもあります。
つまり、破風や鼻隠しのダメージは「そこだけに留まる」ということはないのです。お客様のなかには「はじめは屋根の端が劣化しただけだと思っていた。そのうち軒天も変色、室内にまで雨染みが見られるようになった」と後悔されている方もいらっしゃいました。
破風と鼻隠しに傷みがあったら「いずれ劣化が広がって被害が大きくなる」と思ってください。傷んだ箇所を見つけたら、すぐにでも修理をご検討ください。
破風と鼻隠しにはどんな材料が使われている?
築20年以上のお住まいでは、木製の破風板や鼻隠しが使われていることが多いです。木製の場合、耐久性がそこまで高くないので、日光や雨風による劣化が顕著に見られがちです。腐食もなく、見た目にも傷みがない場合には塗装によって表面を保護すれば、さらに長く使用することができます。定期的に塗膜の剥がれがないかチェックしましょう。
下地にモルタル仕上げをした破風や鼻隠し。モルタル外壁の場合に多く見られます。最近ではモルタル外壁のお住まいが減っていることもあり、破風や鼻隠しがモルタルというお住まいは珍しくなりつつあります。モルタルの場合には経年劣化によるクラックが起こりやすいので注意が必要です。また、雨樋の支持金具が原因で発生したクラックにより、モルタルの剥がれを引き起こすケースもあります。
塗膜が剥がれかかっている
軽
塗装(ケレンして塗装)
安
普通
塗膜が剥がれは進行しているが、木材は健全
中
板金撒き(破風板や鼻隠しを板金で撒いて
覆ってしまう)
中
長い
※鼻隠しを板金巻き(板金カバー)する場合、雨樋を取り外すので新しい雨樋にした方がお得
塗膜の剥がれが顕著、木材にも劣化や腐食あり
重
部分交換、または全交換(破風板や鼻隠しを部分的、または全面的に交換する)
高
普通・長い
瓦屋根の場合、ケラバ専用の瓦「ケラバ瓦」が取り付けられています。ズレや歪み、崩落など、以下のような状態になれば、雨漏りリスクが高まります。放置するほどに住まいに甚大な被害をおよぼす可能性が高くなりますので、できるだけ早めに補修しましょう。
不具合の状況に合わせた処置が必要です。
ケラバ瓦のずれや外れの場合は、歪みがなくなるように整列して直します。ケラバ瓦の割れや欠けは、部分的に交換します。
ケラバ瓦のずれによってできた隙間には、鳥が侵入する可能性があります。ちょっとした隙間から侵入されて巣ができれば、そこが住処に…。糞害や異臭、鳴き声にも悩まされるでしょう。なにより、衛生的にもよくありませんよね。
また、雛が生まれてしまうと鳥獣保護法によって巣の撤去が難しくなり、雛が巣立つまではどうすることもできないのです。もちろん、補修は後回しにするしかありません。春から7月くらいまでは鳥たちの子育てシーズン。巣をつくられないためには、ケラバ瓦のずれによって隙間ができていないかチェックが必要です。
また、塗装が必要なセメント瓦やコンクリート瓦(モニエル瓦)などなら、ケラバ瓦にも塗装ができます。屋根塗装などの際にケラバ瓦も塗り替えましょう。ただ、交換が必要な状況にまで傷んでいる場合、廃盤製品が多いことから在庫が確保できないケースもあります。代替品で補修できればいいのですが、難しい場合は、全体的に葺き替え工事を提案することもあります。
スレート屋根や金属屋根の場合、ケラバにはガルバリウムなど金属の板金が使われています。素材の特徴に合わせたメンテナンスが必要です。
金属素材のケラバの場合、屋根と同じように塗料で表面を保護します。
ケラバ板金の浮きや外れなどが見られたときは、釘やビスを増し打ちして補強します。ひどく錆びた場合は交換することになるでしょう。同質役物(屋根材と同じ材質で作られたケラバ)でも塗装メンテナンスが必要です。
鼻隠しの補修をするなら、雨樋交換もおすすめ。
2階建のお住まいでは、鼻隠しのダメージは2階部分の方が激しくなります。2階の作業となれば、鼻隠しだけの部分的なメンテナンスであっても、安全のために足場仮設が必要となります。足場を組み立てるだけでも安くない費用がかかってしまうため、複数の外装メンテナンスをまとめて行うとお得に工事することができます。鼻隠しが傷んでいるなら雨樋も傷んでいるケースが多いため、先々のメンテナンスも考えて、雨樋も新しくすることをおすすめしています。
鼻隠しは雨樋の土台になっていることから、補修するためにはいったん雨樋の取り外しが必要です。つまり、「これまで使っていた雨樋の取り外し→取り付け」、「これまで使っていた雨樋の取り外し→新しい雨樋の取り付け」、どちらかの作業が発生することになりますが、どちらも同じ工程となりますので、これを機に、雨樋の形状を別のものに交換、支持金具の見直しなどもおすすめしています。雨樋の支持金具の種類はいくつかあって、下から支えるタイプの「受け金具」より、上から吊るすタイプの「吊り金具」は耐久性に優れています。
また、雨樋の形状もさまざまなタイプがありますが、角型の方が半円型より流水量が多いことから、雨が溢れることをおさえ破損しにくい雨樋にもできるでしょう。
降水量は地域によっても異なりますが、「近年、雨が多くなった感じがする」というエリアにお住みの方は雨樋の劣化も定期的にチェックしましょう。
破風板や鼻隠しの補修の際に、雨樋交換がおすすめなのは「コストをおさえるため」「手間を減らすため」という理由です。破風板や鼻隠しの補修に加えて雨樋交換もすると、もちろん費用はかかります。しかし、近い将来に雨樋を交換しなければならない事態が訪れた場合を考えると、足場代が節約できるのです。
それに、「鼻隠しの補修」と「雨樋交換」と数回に分けて工事をするとなれば、工事業者への問い合わせや見積もり依頼、工事契約、工事…など、それだけ手間も増えます。何度も面倒なことをするよりも、一回にまとめた方が全体的なコストをおさえられるうえ、しかも手間も1回で済むのです。
また、何度も補修工事を行うことで面倒なのは、メンテナンスサイクルがバラバラになる点です。「いつ工事をしたか」という記憶も曖昧になってしまうため、同時に行った方が次回のメンテナンス計画も立てやすくなるでしょう。
今回は屋根塗装だけ、次回は破風板や鼻隠し補修、そしてその次は雨樋交換…というように、「足場が必要な工事」を分散させることは、結果的に無駄な出費を増やすだけです。「全部まとめてやれば費用がかかる」と難色を示す方もいるかもしれませんが、現実的には長い視点で考えるとコストはおさえられてお得なのです。
街の外壁塗装やさんは、外壁や屋根塗装はもちろん、破風と鼻隠しの補修や交換、雨樋の交換まで広く対応しています。お家のメンテナンスで不安なことがある、聞いてみたいことがあるなど、気になる点はお気軽にお問い合わせください。
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